男心と秋の空

広辞苑で調べてみると「男心と秋の空」の意味しか書いていない。「女心と秋の空」は載っていない。

実はこの「男心と秋の空」ということわざのもとをたどると江戸時代の落語の人情話に『春色雪の梅』に「男は秋の空、変わり易いということは聞いているが‥」という一節があり日本では「男心と秋の空」が原点だったらしい。

「男心と秋の空」が原点だったのが時代の変遷、男女の立場の変化、外国からの言葉など等があいまって、「女心と秋の空」という言葉が日本でも生まれたようである。

イギリスの例では「A woman`s mind and winter wind change often」と言う言葉があると言う。イギリスの冬の風は女性と同じように強くなったり、弱くなったり変わり易いと言う事から変わり易いのは女心なのだと言う。


「私は今のままの文ちゃんがすきなのです」
これは 日本の文豪、芥川龍之介が書いた恋文の一節

相手は25歳の時に結婚した塚本文。彼女は8つ年下の17歳だった。
この結婚の前、芥川は『羅生門』を執筆。その後発表した『鼻』が夏目漱石に絶賛され、
鮮やかな文壇デビューを果たした。
その後の作品も高評を得て、作家としての地位を確立し、文との結婚はこの頃だった。

彼女に充てた恋文と言うのを読む機会があった。
この一説のある恋文は次のようなものだった。

「何時までも今のままでいらっしゃいと云う事です。
何時までも今の気もちでいる事が人間として 一番名誉な事だと云うのです。
私は今のままの文ちゃんがすきなのです。今のままの文ちゃんなら誰と比べても
まけないと思うのです。」

このあとも延々と言葉が続く。
一見、稚拙でストレートで含蓄もない物のようにも思えるが。恋とはそういうものなのだと思う。

「今のままの君が好き」「そのままが一番」と言われるのは、女性にとって、うれしいし、心が安らぐものである。少なくとも若かりし私にもそう言う言葉を素直に受け入れることが出来た時代があった事は確かである。

また、千葉県一宮の滞在先からの手紙の一節にはこうある。「プロポーズの理由は たった一つあるきりです。 その理由は僕は 文ちゃんが好きだと云ふ事です。勿論昔から 好きでした。今でも 好きです。その外に何も理由はありません。」・・・・・・・・・・・・
 
・・・・・・・・・かく言っていた芥川は、勿論、新婚時代は文をいとおしんだのであるが、翌年は別の女性に心を移していたと言う。これこそ正に、男心と秋の空といえまいか。
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by aakinishi | 2005-10-26 15:29 | Trackback | Comments(2)
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Commented by ブロンソン at 2005-10-30 22:23 x
「男心と秋の空・・・」は平安時代の通い婚(男がこれと思う女のところに通い、女は男の心を計りながらひたすら待つ、男は女以外にも通う所がある。そして男が女のもとに来なくなればオワリ。)から生まれた語句のように思いますが、いかがでしょうか?
Commented by AKI at 2005-10-31 15:18 x
現代ではどう考えても、女も男も感情は一定ではないと言う事でしょうね・・・。いまや女性が選ぶ側に立っているのが現状ですから・・・。
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