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毎日新聞 2006年12月27日 東京朝刊に掲載されたノロウイルスについての転記 

今年は例年に無く多くの死者が出たほどのノロウイルスに対し、ずっと懸念し、脅威を感じ、感染するものかと身構えて いつに無く外出後のうがい、石鹸での手洗等を励行している日々。 

そんな中で以下のような記事を入手、自分に言い聞かせる為にとそのままの記事を転記し、記憶に留めておくことにした。

ノロウイルス:なぜ今年?正体は?どう予防?…解明半ば

人から人で拡大--腸で増殖、培養できず
 ノロウイルスによる感染性胃腸炎の大流行が止まらない。国立感染症研究所が定点調査を始めた81年以来最悪のペースで増え続け、安倍晋三首相が対策を指示する事態になっている。ウイルスの正体や、発病の仕組み、流行の背景を探った。【西川拓】

 ◇海外も流行
 国内では9月末ごろから例年を上回るペースで患者が増え始めた=グラフ。国立感染症研究所が全国約3000カ所の小児科で調べている感染症発生動向調査によると、12月4~10日の1週間で新たに6万6871人が感染性胃腸炎を発症。ほとんどノロウイルスが原因とみられる。都道府県別では福井、愛媛、埼玉、富山、宮城、山口などが多く、西日本から東日本に流行が移りつつあるという。

 一方、欧州でも南欧の一部を除き、ドイツ、英国、スウェーデン、フィンランド、デンマークなど広範囲で例年を上回る流行が報告されている。カリブ海や大西洋を航行中の米客船でも大規模な集団感染があった。

 同研究所感染症情報センターの松野重夫主任研究官は「今年、これほど流行している理由は分からない。ウイルスの遺伝子が変化して感染しやすくなったのではないかという説もあるが、世界中のノロウイルスが一斉に変化したとは考えにくい」と首をひねる。

 ◇強い感染力
 ノロウイルスは68年に米オハイオ州で起きた集団胃腸炎の患者から見つかった。直径30ナノメートル(ナノは10億分の1)ほどの球形をしている。ヒトの空腸(小腸の一部)の上皮に感染し、腸の表面の繊毛をはがしてしまうため下痢を起こすと考えられている。
 便や吐物を介しヒトからヒトへ感染する。潜伏期間は1~2日。感染力や増殖力が強く、10~100個ほどの少量が体内に入っても症状を引き起こすことがある。乾いた吐物からウイルスが飛散することによる“空気感染”が疑われる集団感染例も出ている。

 患者の便から1グラム当たり100万個程度のウイルスが検出され、すべてが排出されるのに健康な成人で1週間、幼児では3カ月かかる場合があるという。松野さんは「症状が治まっても便の中にウイルスを排出し続けるので、2次感染の予防が重要だ」と話す。抗体ができにくく、1シーズンに何度も発症する人もいる。

 ノロウイルスはヒトの腸でしか増殖せず、実験用の動物や細胞に人工的に感染させることにはまだ成功していない。松野さんは「腸から分泌される消化酵素などをうまく利用して増殖すると思われる。生きたヒトでは実験が限られるため、ノロウイルスの性質には分からない部分が多い」と指摘する。
 このため、症状が出てからの治療は対症療法しかなく、感染予防が肝心となる。ただ、酸や熱には比較的強く、アルコールでも死なない。動物に感染する類似のウイルスは、71・3度で1分間加熱すると死ぬことから、食品や調理器具について、厚生労働省は85度以上で1分間以上加熱するか、ウイルス全般に有効な塩素系漂白剤で消毒することを勧めている。

 ◇カキは無実
 ノロウイルスは二枚貝に含まれることがあり、毎年冬場には生ガキなどによる食中毒が散発的に起こっている。しかし、カキは今年の大流行の“犯人”ではない。厚労省によれば、11月以降、ノロウイルスによる食中毒で、カキが原因となったのは1件だけだ。
 出荷量全国6位の三重県は、県内4カ所で養殖している浄化前のカキを定期的に抜き取り調査し、ノロウイルスの遺伝子の有無をホームページ「みえのカキ安心情報」で公表している。ノロウイルス遺伝子が検出され始めたのは10月末ごろで、ヒトの感染性胃腸炎の流行が先行している。ノロウイルスを含んだ下水が海に流れ込み、食物連鎖を通じてカキに取り込まれたと考えられる。
 県伊勢保健福祉事務所食の安全・安心監視課の高村康課長は「ヒトでの大流行の後なので今後は注意が必要だが、中心部までしっかり火を通せば問題ない」と話している。

という事でいつも心して感染しないように予防する事が大事であるのは言うまでも無い。
最後のカキについてはテレビなどのマスコミがいかにもカキが犯人かのごとく放映したせいもある。無実といったところに思わず笑いがこみ上げた。私の大好物であるカキも良い迷惑だった。

by aakinishi | 2006-12-31 14:08
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